スキンケア

尿素クリームの使い方

薬局でよく見かける尿素配合クリーム

踵(かかと)のゴワゴワやひび割れなど、寒くなると尿素入りのクリームをお使いになる方は多いのではないでしょうか?
この尿素入りクリームを使用する場合に、注意が必要なことをご存知でしょうか?

尿素が高濃度なものは要注意です!

尿素の濃度が高ければ高いほど、効果があると思っていませんか?
同じメーカーでも、尿素の配合濃度が違うクリームが販売されていますが、とくに高濃度に配合されているものは、乾燥が激しい状態や炎症がみられる状態には使用するべきではないとされています。アトピー性皮膚炎の患者さんに至っては、使用しないように注意喚起をされている皮膚科医もいらっしゃいます。

保湿効果がある?

尿素は10%までの濃度であれば保水作用があるとされていますが、保湿目的でのご使用はおすすめしません。
確かに、尿素クリームを塗ると肌がしっとりしますが、尿素は水と比べて浸透圧が高いために皮膚の内側にある水分が角層に浸透した尿素クリームへ移動しているだけで、角層の水分量が増えているのはクリームが肌に残ってる間だけ。肌を洗い流すとクリームと一緒に流れてしまい、結果的に皮膚の内側は乾燥してしまいます。

尿素配合のハンドクリームを塗った際に、その時はしっとりするのに手を洗うとパサパサになってしまうという経験はありませんか?

ただし、化粧品では10%の尿素を配合することは許可されていないので、医薬品となります。

10%以上の濃度で、角質融解作用が!

「角質融解」とは、硬くなった角層を分解して柔らかくするというもの。

これだけ見ると、肌が柔らかくなっていいイメージしかないのですが、実は角層がはがれやすくなりターンオーバーが短くなるという作用もあります。

最初は、肌が柔らかくなるので使い続ける方が多いと思うのですが、角層のターンオーバーが短くなるということは、あまりいいことではないのです。

使用できる年齢に制限があります

ちなみに、皮膚が薄い小さなお子様には、以下のような使用制限がありますのでご注意ください

  • 尿素10%の製品:3歳未満は使用不可
  • 尿素20%の製品:15歳未満は使用不可

※アトピディアでは尿素は一切使用しておりません

ターンオーバーが短くなると

肌の一番外側にある角層は外部刺激や水分の蒸散を防ぐバリアの役目をしています。肌の一番底の部分で生まれた細胞が最終的に役目を終えてはがれ落ちるまでのサイクルのことをターンオーバーといい、通常28日周期で肌は生まれ変わっています。

この肌の新陳代謝は周期が早ければ早いほど肌にいいというわけではありません。何らかの理由でトラブルが生じると、このターンオーバーが短くなることがわかっています。

健康な肌では、28日かけて育った角層がしっかりバリア層を形成し、古くなった角層が垢となって剥がれ落ちています。

一方で、28日よりも短い周期でターンオーバーを繰り返した角層ははがれやすく、脆弱な状態になりバリア機能が低下しています。その結果、外部刺激に弱く、うるおいがキープできないため乾燥しやすくなり、さらに新たな炎症がおこりやすいという悪循環に陥ってしまいます。

尿素をつかい続けると

尿素を10%以上配合しているクリームなどを使い続けると、角層が分解されて剥がれやすくなりターンオーバーのサイクルが短くなってきます。すると、角層のバリア機能が不十分になり、うるおいをとどめる力のない乾燥しやすく敏感な肌になってしまうのです。

つまり、もともと乾燥が激しい部分や炎症がみられる状態には尿素の使用は避けた方がいいということになります。

角層を構成するタンパク質を分解してしまう作用があるため、少しでも刺激を感じる場合は、ご使用をお控えいただくことも必要です。